2019/2/24(日)13:00-18:00 @ナディアパークデザインホール(3F)
名古屋の産学官イベントとして、新しく始まった
DAF2019のスクリーニングに参加しました~。スケジュールは下記です。時間が押したので18時以降の授賞式は見ていません。
13:00-15:00 第一部 最終ノミネート作品上映+持込作品の講評会
15:00-16:00 第二部 名古屋発の商業アニメ作品+会社紹介
16:00-18:00 第三部 招待作品上映
18:00- 授賞式
第一部コンペ15作品のうち北京電影学院動画学院の3作品『GrowingBlue』『voice』『Amnesia』は手描き中心で、テーマ、脚本、演出、キャラクター、アニメーションなどの総てにおいて本コンペのうち、作品としての完成度が高かったです。これら中国の学生作品は、日本でいえば、東京藝術大学、多摩美術大学、武蔵野美術大学、東京造形大学や東京工芸大学などのアニメーション学部やコースと対応するレベルなのかなと思いました。表記がなく不明なので、大学院生の可能性もあり、それならば尚更、完成度は上がりますね~。
他の11作品は3DCGでした。1作品は両方使ってるのかな。ほとんどが専門学校やアニメーションのみを集中的に学ぶわけではない大学の作品のため、技術習得時間数や学ぶ目的などカリキュラムが、中国電影とはかなり異なるのではという印象です。専門学校は作家ではなく技術者を育てる実践的な学びが特徴ですよね~。作品として考えると、専門学校や専門でないコースの大学の3DCG作品と、専門でアニメーションを学ぶ大学での手描き作品と並べるのは、異なる部分が多いため比較が難しいのではと感じました。
欧米だと、例えば3DCGのモデリングならそれを中心に学び、卒制もモデリング作品1つのみで認定されたり、脚本はそれだけ学ぶコースがあったりと技術別で学ぶことができる教育機関もあります。日本でも、卒制をグループワークするアニメーションの教育機関は東京を中心に増えているのでしょうか。
このコンペの3DCG作品中では、デジタルハリウッド大学の『LETTER』が脚本と演出がわかりやすく、アニメーションならではの表現をうまく利用し、かつ心温まる内容で、多数の人が観やすいだろう作品でした。
名古屋学芸大学の『R』と台南国立芸術大学の『Chairman』は、労働にまつわる社会的なテーマにみえました。比喩的ながら、ストーリーや画面構成もわかりやすかったです。
トライデントコンピュータ専門学校の『CHILDHOOD』は、前半がSF、後半が現実の様子で構成されていて子供の遊びをうまく表現していました。
HAL大阪の『Heartbeat』と日本工学院八王子専門学校『Abeila』は異なる教育機関で制作されているも、DJイベントという共通点がありました。前者は男性で危機的な雰囲気のエレクトロっぽい選曲、後者は女性で明るい雰囲気のテクノと、設定も対比的でした。
個人的には
弥栄堂の『逢魔ヶパレヱド』が、妖怪や付喪神があふれる街の情景を表現していて、"2DCGぽい手描きと3DCGの混成になっており好きでした。
ちなみに、コンペ受賞結果は以下です。
グランプリ 『レター』
準グランプリ 『voice』
審査員特別賞 『R』 『HeartBeat』
今回のうち個人的に一番おもしろかったのは講評会です。スピードの岩木勇一郎氏が講師で、ポートフォリオや作品の質を上げる具体的なポイント、仕事で要求されること、自分の得手不得手の把握、専門分野での働き方についてなど、経験者が語る実践的で示唆的な内容でした。
第二部名古屋舞台作品『シキザクラ』の紹介
中京テレビのVtuberのキャラ「キミノミヤ」「大蔦エル」の紹介
名古屋舞台マンガ原作アニメ『八十亀ちゃんかんさつにっき』の紹介
DAT関連企業の、3DCGアニメーション制作などの「サブリメイション」、キャラデザや各種デザインの「K&Kデザイン」、企画製作「ツインエンジン」、モーションアクターのプロダクション「活劇座」、各業種のCG全般を扱う「スピード」、声優プロダクションの「TYK promotion」の紹介
各組織が、名古屋拠点の共同制作を通じて相互に関連している・していく予定なことがよくわかりました。
第三部『WALKING MEAT』(監督:須貝真也、2018、20分)
ゾンビ肉を食品加工する工場でのシステムエラーに、新人3名と上司が健闘する、ドタバタB級ホラーアニメでした。過去作の引用も多く、近年のゾンビ映画ブームを踏襲したのでしょうか。ご都合主義的ナンセンスな展開を含め、ゾンビ映画やB級ホラー映画好きの人も楽しめるのかなと思いました。
『猫企画』(監督:粟津順、2018、38分)
ゴジラ、ハリウッドSF大作などを引用しつつ、ゆるくオムニバス形式で構成されたSF作品でした。個人的には冒頭で『桃太郎 海の神兵』なども思い出しました。労働問題や核など社会問題テーマをうっすら感じたものの、そこはあまり関係ないのかもしれません。
仏名門シュパンフォコムの学生作品『The Elephants Will Be happy』『Pulse』『No Gravity』『Stuffed』を最後に上映しました。『No Gravity』『Stuffed』はたぶん昨年末のシーグラフアジアで観ました。グループワーク出来ない人は入試でとらないらしい、企業で働ける技術者やアーティストを育てることに特化した教育機関の作品は、さすがレベルが高いですね~。
以前、ここで講師されてた方から、グループワークとはいえ、会社組織でのシステムとかなり異なる構成なので、学内でチームリーダーになり優秀な学生も就職後、職場のワークフローに悩み離職する人もいると聞きました。
本イベントの講評会でも、仕事では半年かけての100リテイクで1シーンを作ることもある。嫌になることもあり、そこで少し気持ちを逸らしつつも乗り越えて継続できる人が残っていける、というようなことをプレゼンテ―ターが話されていました。
人間関係も含め、仕事を続けるための作業との向き合い方や気の持ちよう、息抜きなど、業種を越えて通じることがあるなぁと思いました。
まとめちょっと残念だったのは、上映の際に場内が明るすぎて、映像のブラック部分が白っぽくなっていたり、暗めの画面のとき見えづらかったことです~。親子連れの方もいらしたので、親子上映会スタンスで、安全のため暗くしなかったのかもしれません。
また、コンペ出品校や関係企業・産業団体の方などが主な参加者という印象でした。他は、親子連れや興味のある一般人もちらほらという感じです。
本イベントは、これから名古屋を拠点としてアニメ産業を盛り上げていきたい、アニメ関連技術を地元で学ぶ人たちが、地元で就職し働ける環境の整備なども取り組んでいきたいという意気を感じる内容でした。地下鉄「塩釜口」駅の近くに数社による共同オフィスビルも構え、いずれはその地階でイベントもできるカフェを運営予定とのことで、今後が楽しみです~。