暑すぎる毎日ですね~、ミドリンゴです。「シン・ゴジラ」を観ました。
戦後以降、アメリカの植民地的な日本の立場や、9.11と3.11で現実となった破壊的な映像、原爆と原発問題など、社会的なテーマを背景にしつつ、あくまでもスぺクタクルなディザスター映画としてエンターテインメント作品になっていました~。
また、戦闘機や戦車など、メカへのオタク的な愛着のある視点、例えば、戦車が後退する際の低位置からキャタピラーの動きを舐めるように撮っているシーンや、電車がゴジラに追突するシーンなど、細かい所がおもしろかったです。
過去作品の引用や参照も多く、特撮とCGIの混成も、見どころの一つでした。ゴジラの3DCG映像などに加えて、「館長庵野秀明 特撮博物館」で「巨神兵東京に現る」に出てきた、熱光線で溶解崩落する高層ビルの特撮シーンと同じ技術が使われてそうだったし、ミニチュアのジオラマ含め、そうした映像の細部も楽しめました。私と同じく、ヤシオリ作戦でエヴァのヤシマ作戦を思い出す人は多いみたいですね。(ネット調べ。。)
音楽は、私はゴジラのテーマ曲と、エヴァの曲しかわからず。。エンドロールを見るといろいろ引用されていました。
お店のお客さんから聞いた話では、ゴジラ過去作の曲を今回のために演奏録音し直したが、オリジナルのモノラル録音の曲の方がマッチしていたので、そちらを使用したなど、こだわりがあったそうです。
また、ゴジラの動きも、人以外の生き物が多く登場する狂言の動きを取り入れたいとのことで、野村萬斎さんに依頼して、野村さんの考えるゴジラの動きを演じてもらいモーションキャプチャーしたと聞きました。
前半は、字幕と早口のセリフ、政府の面々、破壊される街、逃げる人々、SNSなどの映像を、短いカットでテンポよく繋いでいて、ニュース映像のようでした。中盤からゆるやかになって、後半で加速しエンディングという流れで2時間、私は苦なく観られました~~。
内閣や政府要人、御用学者などの会議の様子は、国会生中継の比ゆのような可笑しさがありました~~。前半では少し皮肉気味に政府関係者の動向を、距離を置いて描いているように見えて、終盤に向かい、生き残った皆が力を合わせて共通の敵(アメリカとゴジラという2つの核??)に立ち向かうような雰囲気もあり、政府と自衛隊の賛美から成るあふれんばかりのヒロイズムを感じました。
併せて、死体の不在よる死の美化などから、一種の現代のプロパガンダ映画にも見えました。ヤシオリ作戦決行前の様子がまるで特攻隊だなぁと。。
あと、フランス政府に、アメリカの核弾頭攻撃のリミットを遅らせる交渉をしたり、牧博士の残したデータ解析のために、海外の研究機関にネットワークを介してのスパコン使用要請をするなど、ローカル-グローバルな表現も、ところどころありました。
この内容を2時間に収めるためには、被災者個々の丁寧な描写や、政府関係者とその家族の様子など、人間に寄り添ったドラマを描く時間はないと思います。被災者の避難生活シーンでは最初の方で、ペットだろう猫も避難してる映像が一瞬ありました。これは何かの配慮かしら?全体的に、出来事から少し距離を置いて、うまくまとめてあったなぁ~と思いました。
今一つ理解できなかったのは、エンディングで、被害者のことを忘れず今後復興していかねば、というようなセリフに重なって、ゴジラのしっぽに人間の凍り付いた死骸のようなものが複数在るシーンです。
私は、ゴジラ討伐の際にたくさんの特攻隊的な人員が死亡しているし、街が最初に破壊された時点で逃げ遅れた人などの死体もあるかもしれないので、そうした人々の死体が、ゴジラが凍る際に、しっぽに絡んでああなったのかと思ってしまいました。でも、ネットで他の方の感想を読んでいたら、ゴジラの次世代形態がしっぽから産まれんとしていたのが凍ったと書いているものを見つけたので、ラストシーンについて、他の方の感想やご意見をもっと聞きたいなぁと思いました~~。