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地元の映画館

雨の日ですねぇ~、ミドリンゴです。

この前、初めて刈谷市の「刈谷日劇」さんに行ったので、いわゆるシネコンやチェーン展開の映画館とは違う映画館の良さを改めて実感しました。

私は名古屋で育ったので、高3から今池のシネマテークさん、翌年からシネマスコーレさんにたまに行くようになりました。当時も、ヘラルド系の中日シネラマ、シルバー/ゴールド劇場などがあり、ハリウッド映画以外の作品が観られる場もそれなりにありました。でも、テークやスコーレさんは、そういった映画館とは一線を画した独特の雰囲気、海外の短編アニメーション特集や、観たことのない実験的で芸術的な映画もかかるおもしろい場として、美術館主催の上映会と、大手商業作品のかかる映画館の中間的存在と思っていました。

日本初公開のヤン・シュワンクマイエル「アリス」を観たのはシネマテークさん、まだ日本でほとんど紹介されてない韓国映画を観たのはシネマスコーレさん(ゲイ男性の人生を、田舎部での幼少期、都市部での青年期と2部構成で描いた作品)でした。

シネコンはたくさんあるけれど300席以上のスクリーンに観客10名以下での上映が(特に田舎部では)当たり前、そして地域性や特色のあるミニシアター系が閉館していっている現状で、地元でがんばっている特色ある単館は、映画好きの拠り所として機能しているなぁと実感します。
「刈谷日劇」「シネマテーク」「シネマスコーレ」の3館とも、その成り立ちがまったく違うのに、映画好き市民のコミュニケーションの場、居場所、文化的な情報の場として機能しているところは似ていて、とてもおもしろいと感じました。

15年くらい前に読んだ、珈琲の歴史の本に、19世紀ヨーロッパのカフェ文化の中で、政治や哲学など社会のことを語る情報交換の場として機能するカフェでのメイン飲料となっていった歴史が紹介されていました。
独自のカラーで運営する単館の映画館も、当時のカフェのように、映画をキーワードに、いろいろな人が来てコミュニケーションが広がっていく公共空間なのだなぁ~と実感するこの頃です。