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月夜乃散歩作品展「幻想と現実の境界性アート」について

本日から開催の月夜乃散歩作品展「幻想と現実の境界性アート」。

ちょうど、大阪のSUNABA GALLERYさんで、天才墨絵師の東學氏との2人展"東學+月夜乃散歩「少女の化石」展"にて、4/4にトークショーをされた月夜乃散歩氏。その熱気を少し持ってきていただく形で、搬入の合間にお話を伺うことができました。

月夜乃散歩氏は、写真撮影された、主に人物(女性)とその他の素材を重ね、コラージュし、シュールでビザールな作品世界を産み出しています。細密に構成され、様々な要素が重なりあった濃密で不思議な世界観は、鑑賞者に隅々まで画面を観る楽しみを与えてくれます。いったいどのような手順で制作されているのか、興味津々でした。

だいたいの流れとしては、ご自身の経験や記憶とモデルさんのそれを重ね、合致したところでストーリーが生まれ、それを元に画面を構成していくそうです。

モデルさんと写真撮影の打ち合わせを、ネットなどを通じて綿密に行い、実際に撮影するまでに数ヶ月から数年かかるそう。方向性や話が合う方なら時間はかからないし、そうでないと撮影まで至らないこともあるとのこと。

モデルさんとお話をしていく中で、扱うべきテーマやモチーフを、相手の希望や経験談などから引き出していくそうです。そこに、ご自身の表現したいイメージや要素などを重ねていき、画面構成をされるそう。

美しいというだけでは、撮影対象として合わない場合もあり、作家側の提案も受け入れてくれる、内面的な波長の合う方でないと作品として成立しづらいそうです。

撮影素材は、いろいろな場所で集めるそう。ある作品では、人形師の方から譲り受けた陶製の人形を割って、それをモチーフに撮影したり、あるときは、通販して、偶然ちょうど良い具合に割れたガラス瓶と、錠剤を組み合わせたり。錠剤を購入される際は、薬局の薬剤師さんに、割れやすく、良い感じに解ける黄色い錠剤ありませんか?と聞いて怪訝な態度をされたそう。

作品を仕上げるまでの、モデルさんとのコミュニケーションや素材集めなど、一連の作業があってこそ完成する、ある意味、作家とモデルさんのライフヒストリーが重なったような作品です。

テーマになるのは、しばしばモデルさんのトラウマ的な経験談が多いそうで、そうした、普段は内面の奥深くにしまって、他人に話さないようなものを引き出し、対象化することで、モデルさんにとっての浄化作用や、自己の外面が作品化される以上の自己承認の肯定的な効果も起こります。

画面に写っているモチーフのひとつ一つに意味や元になったものあり、まるで謎解きのように、そうしたお話を聞けたのも収穫でした。

作品の中で、既成の価値観や概念を壊し、タブーを破ってこそ美術作品とおっしゃられ、過去の文脈の踏襲とその上での破壊と創造という形式を踏みつつ、独自の世界観を表現する月夜乃散歩氏。

実際に展示いただいた作品は、重厚でしっかりとした存在感があり、ネットの画像では伝わらない、おもしろさがあります。
そのサイズ感を含め、ぜひ実際にじっくりご覧いただきたいです!!!

月夜乃散歩作品展 「幻想と現実の境界性アート」 
日時 4/6(月)-5/6(水)13:00-21:00 ※火曜定休
※要1ドリンク(500円)注文
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