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「野ばら」と髙橋克雄監督の世界 について

おはようございます、時差ボケで午後は起きていられないミドリンゴです!
10/5(土)、10/6(日)に開催の「野ばら」と髙橋克雄監督の世界 について、
企画の大塚浩平氏に、紹介文を書いていただきました!以下です〜。


 おそらく「髙橋克雄」という監督の名前を聞いてもご存知の方は少ないと思います。しかし、30代後半以上の方なら、80年代にNHKで放送されていた「番組のお知らせ」のバックに流れていた人形アニメーションを覚えておられる方も多いのではないでしょうか。
この人形アニメーションを約10年にわたって制作されたのが、誰あろう髙橋克雄監督なのです。
 
 髙橋監督は1932(昭和7)年長崎市のご出身です。人形アニメーションの世界では有名な川本喜八郎さんが1925年のお生まれですので、その少し後にはなりますが、同じく人形アニメーションで著名な岡本忠成さん(1932-1990)や漫画家の手塚治虫さん(1928-1989)ともほぼ同世代です。

 戦後、1957年に東京でプロダクションを設立し人形劇、絵本などを制作。テレビ放送開始とともにテレビ向けの人形劇(当時は生放送でした)やアニメーションにも進出、多くの番組の脚本や制作を手掛けられる一方で、教育用映画の分野でも多数の作品を製作されます。
また、1970年の大阪万博での日立グループ館の総合演出、NHKが毎年行っている「歳末助け合い/海外助けあい」の「あなたのやさしさを」というキャッチコピーも髙橋監督の手によるものです。
 
 そうした多くの作品を生み出してきた髙橋監督が首尾一貫して取り組んできたのは「子供向けの良質な作品を世に送り出す」ということ、そして限られた条件の下での「創意工夫」であったといえるでしょう。

 現在ではパソコンとソフト、デジタルカメラさえあれば誰でもアニメーション作りが始められますが、髙橋監督が制作を始められた当時はフィルムカメラを民間で購入することすら難しい時代。
また、画面にさまざまな要素を合成する作業も今では簡単にできますが、当時はオプチカルといってフィルムに多重露光(撮影)をし、しかも現像をしないとその結果がわかりませんでした。
当然失敗していれば最初から撮り直しです。そうした中で様々な撮影手法を考案し「(後処理をできるだけ少なくして)現場でそのほとんどを済ます」というさまざまな工夫を試してきました。
その技術は『一寸法師』(1967)を観た、当時のカナダの著名なアニメーション作家・ノーマン・マクラレンをも魅了しました。
 
 また、髙橋監督は原爆で家族を亡くされ、ご自身も直接ではありませんが焼け野原となった長崎で被爆されています。
そんな髙橋監督にとって小川未明原作の『野ばら』が特別な作品であったことは想像に難くありません。企画段階から数えると3年という年月を掛け、人形の一つ一つを作るところから始めたこの作品は制作途中で資金が底をつき、自宅を抵当に入れてまで完成させたという労作です。
その甲斐あって『野ばら』は完成後国内外の映画祭で高く評価され、それが「NHK番組のお知らせ」の『メルヘンシリーズ』のアニメーションへとつながっていきます。

 この「メルヘンシリーズ」は10年余に渡って放送された長寿番組ですが、スタート時はフィルムで撮影されていました。その後ビデオによるコマ撮りへと進化して行きますが、このビデオとコンピュータを組み合わせた放送用のコマ撮りシステムを世界でいち早く完成させ放送番組やコマーシャル制作に用いたのも髙橋監督です。

 髙橋監督は現在81歳。近年では長崎時代のご自身の祖母について書かれた小説を発表するなど、その創作意欲は今も衰えることなく活動を続けていらっしゃいます。
 『野ばら』はここ数年、作品に込められた平和への願いなどが共感を呼び、国際的にも再評価がなされています。そんな高橋監督の一連の作品を俯瞰できる今回の上映会、皆さんもぜひお出でください。

日時 10/5(土)14:00-15:30 上映終了後、大塚氏による解説トーク有 /19:00-20:30
    10/6(日)14:00-15:30
料金 入場無料 ※ただし、要1ドリンク(500円)注文
詳細 こちらからご覧いただけます!
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  • 2013-10-02 09:02

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